創立20周年記念にいただいたご祝辞

(第20回定期演奏会プログラムより)


フランが過去お世話になった皆様方から、創立20周年を記念して、心温まるご祝辞を頂戴いたしました.
第20回定期演奏会のプログラムにも掲載いたしましたが、改めてそのメッセージのいくつかを掲載します.
振り替えって見ますと、立派な方々とご一緒させて戴いたものだと、感謝するとともに感慨深いものがあります.


五十音順に掲載します.

小田野広之さん(指揮者)

田宮堅二さん(トランペット奏者)

中島良史さん(指揮者)

新田ユリさん(指揮者)

沼尻竜典さん(指揮者)

茂木大輔さん(オーボエ奏者)

山下一史さん(指揮者)

山下洋輔さん(ジャズミュージシャン)


小田野広之さん(指揮者)

 アンサンブル=フランが今年結成20周年をおむかとのこと、心からお祝いを申し上げます.人間でいえば「はたち」になるわけで、ここまで楽団を成長させた皆さんのパワーに敬意を表します.
 プロ・アマを問わず、演奏団体を設立することはそんなに難しいことではありません.当初の予算と勢いがあれば、盛大に創立記念演奏会を迎えることはできるでしょう.問題はその先で、その団体が健全に育っていくためには物心両面の並々ならぬサポートが必要です.しかしそのサポートはすぐに明確な結果が出る類のものではないので、周囲の理解がなかなか得られないのが現実だと思います.
 アンサンブル=フランもおそらく想像を絶するほどの「見えない苦難」を乗り越えて、本日ここに第20回定期演奏会を迎えたことと思いますが、その支えとなったのが音楽への愛とアンサンブルの魅力であることは言うまでもありません.高い理想を妥協を許さず追い求めながら会得したステージ上の一糸乱れぬアンサンブルは、演奏を離れた時もきっとメンバーの皆さんにとって大きな財産となっていることでしょう.
 私が初めてみなさんとご一緒したのが1982年の12月、私が指揮者としてよちよち歩きを始めたばかりの頃でした.2度目の共演からも5年も経ってしまいましたが、自らの個性をはっきりと主張し、感覚的だけでなく理論的に裏付けられた演奏からは、いつも大きなエネルギーをもらうような気がします.テクニックにも恵まれ、これだけ雄弁な演奏をする「硬派」のアマチュアのアンサンブルを私は他に知りません.
 はたちを過ぎたアンサンブル=フラン、これからはその名のとおり大人の遊び心や気楽さをさりげなく演出し、持ち味である強力なアンサンブルを武器に、よりいっそう柔軟性に富んだ演奏をしてください.皆さんの新たな側面を覗けるような瞬間に出会えるのを楽しみにしています.またいつかご一緒いたしましょう.

フランの無限の成長をお祈りしつつ

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田宮堅二さん(トランペット奏者)

 明治神宮の絵画館地下ホールでの最初のリハーサルで皆さんの音を聴いたとき、その音の密度に感激いたしました.私がドイツ・ベルリン・オペラで10年間演奏し、ベルリンフィルに学生時代毎週エキストラで参加していた頃にも似た、心が熱くなる響きでした.いつか、また一緒に演奏する機会があることを願いつつ、皆様のこれからのすばらしい活動を期待致し、20回目の定期演奏会の成功を祈ります.

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中島良史さん(指揮者)

 20年ほど前、私とフランとの出会いはこう始まる.リハーサル中に曲を止め、一言と言おうと思ったとたん、それをさえぎってコンマスの清水氏.「こっちにまかせろ」とばかりさっさとメンバーに指示.(ウーン!と舌を巻き、指揮者ラクチン!しかしチョッピリ生意気ダゾ!)
 若いころのフランは過激なばかりの自信と負けん気とワンパクさの横溢したウマーイ集団だった.その後、発展するフランに定期以外のコンサートで数多くつきあわせてもらった幸せな私である.
 私の関係する大学合唱団の伴奏をいつも好演してくれたが、中でもカルミナ・ブラーナは特筆に値する.また、プロオケの日程調整がつかず急遽代役を引き受けてくれたコンチェルトの伴奏では、マネージャーを「プロよりウマイ!」と感激させるなど・・・・・.しかし何といっても、1985年Bach生誕300年のHappy Barthday Bachコンサート.巨匠山下洋輔氏はじめJAZZ界の大物たちと真っ向勝負.その時の凄まじい程の若いエネルギーの爆発(弓を折ったベーシストもいたっけ!)は、忘れられない思い出.
 仕事より、恋より音楽に一心フランだった連中も、今やアンサンブル不惑(フワク).社会&会社にもまれ、家庭を築いて、顔や頭頂部に深み(?)を帯びて、しかし、益々音楽への情熱は変わることなく今日も日曜日にはせっせと練習へ出かけて行くのだろう.
 20年オメデトウ!

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新田ユリさん(指揮者)

 20周年おめでとうございます.アマチュア界に驚異(脅威)の存在を知らしめて20年、歴史を見事に刻んでこられてこと、心より敬服いたします.
 15周年の折りに初めて皆さんの音に出会いました.弦楽器の音を愛するものとして、とても幸せなときを過ごした記憶があります.それから3回の協演は、いずれも素晴らしい作品を通して皆さんとの音の会話を楽しんだ貴重な公演でした.
 世の中に弦楽合奏の作品はまだまだあります.どうぞ次の20年間はそんな新しい作品への旅もなさってみて下さい.いつかまた一緒に旅をしましょう.
 素敵なメンバーの皆さんの前途を祝して、乾杯!

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沼尻竜典さん(指揮者)

 第20回定期演奏会おめでとうございます.
 今から9年ほど前、大学を卒業したばかりでオーケストラなど殆ど振ったことのない私を、当時の私の師匠、円光寺氏の紹介で副指揮者として使っていただきました.シェーベルグの「浄夜」を含む大変ハードなプログラムでしたが、プロのオーケストラと違って時間をかけて丹念にリハーサルを積み上げていくプロセスにおいて、本当に多くのことを学ぶことができました.それが私の現在の指揮活動の礎になっていると言っても過言ではありません.
 演奏会のご成功と、アンサンブル=フランのさらなるご発展をお祈り申し上げます.

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茂木大輔さん(オーボエ奏者)

 バッハの「オーボエとヴァイオリンのための協奏曲」をフランと共演させていただいたとき、「他のプログラムも聴いてご指導下さい」と積極的なお申し出を受けました.こまかいフレーズのとり方からバランス、音楽の流れに至るまで、僕の提案にどこまでも食いついてこられる積極性、それを可能にする技術的裏付けには、本当に深い感銘を受けました.
 いつかまた、バッハのオーボエ協奏曲や管弦楽組曲などの素晴らしい音楽をご一緒できることを夢見ております.

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山下一史さん(指揮者)

 創立20周年おめでとうございます!
 もう、あの頃から20年経ったのか・・・・・と改めて歳月の流れに感慨一入です.あの頃僕は高校に入ったばかりで、本日の演奏会の指揮者の円光寺雅彦さんの元で指揮の勉強を始めたばかりでした.フランの練習を見せてもらっていたとき、急に「振ってみろ」と言われて、「初めて」指揮したオーケストラ・・・・・.とても上手で、そしてちょっぴり怖かった.それ以来、何回か演奏会をご一緒する機会ももてて・・・・・そういえば中でチェロを弾かせてもらった事もありましたっけ・・・・・
 そして、僕の指揮の勉強も20年目、皆さんお仕事−それもかなりお忙しそう−をなさりながらの音楽活動.月並みな言いようになるけれど「続ける」ための並々ならぬ努力と、そしてなによりも情熱に心から敬服致します.
 来年2月のコンサートは、僕と皆さんの20周年.身の引き締まる思いです.

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山下洋輔さん(ジャズミュージシャン)

 20周年おめでとうございます!
 なんという重い時間でありましょう.これもメンバーの皆様の音楽への献身と熱意と実力のたまものであります.心から敬意を捧げます.
 思えばあれは1985年、バッハ生誕300年記念の年でしたね.バッハをフリーミュージックイデオムでやるという、私の確信犯的アイディアにつきあってもらい、やりなれぬものを共演していただきました.さぞご苦労だったでしょうが、あのコンサートは大変楽しくも、面白くも、素晴らしい成果として私のキャリアに爆然と輝いております.
 あのときの皆様の熱演に、あらためてお礼を申しあげます.ありがとうございました.今回のめでたい記念公演の日は、残念ながらスケジュールが重なってしまって伺えません.会場にはひときわ輝く時間が出現することでしょう.遠くより皆様のそのインスピレーションを受け取ることにいたします.

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